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【宵闇の中で君を思うとき(仮)】

初めての台本です。

声劇用に書いてみました。

どうぞ。


宗佑(そうすけ) 頭の回転が速い。浪人、女好き、剣の腕は微妙。     
千早(ちはや)  宗佑通う飲み屋の店主、嫉妬する佳代を見て楽しんでいる。大人
長慶(ながよし) 宗佑の住む近所の同心、道場主も兼ねる。        真面目
佳代(かよ)   宗佑の許嫁、女遊びの激しい宗佑に振り回される。    明るい



宗佑の家の縁側。千早の膝枕で宗佑が寝ている。
野菜の入った籠を持った佳代が急いで入ってくる。


佳:たっ……。大変、大変ーっ!

宗:んだよぉ。朝っぱらから騒々しい。ゆっくり寝させてくれよ~

佳:大変なんだよ!すぐそこの長屋で大家さんが……って何やってんのよ!?

宗:何って……横になって休んでんだよ?

佳:……そ、その膝枕は休むのにひ・つ・よ・う、なの!?

宗:失礼なこと言うな!千早さんはこうやってだな、自身の体……もとい膝で俺を癒してくれてるんだよ!

宗、千:ね~

佳:ちっ、ち、ちちち、千早さん!? 今すぐここからどいてください! 早く!

千:え~。どうしようかしら~


ゆっくり宗佑の顔を撫でる千早。


宗:おほっ、おほっ。ち~ちゃ~ん~。今日はやけに積極的じゃないの~

佳:宗佑さんっ!?

宗:あーはいはい。すみませんでしたー

千:で、佳代ちゃん。何かあったの?

佳:そ、そうなの! 隣の長屋の大家さんが殺されたのよ! 帰りに悲鳴が聞こえて行ったの。

宗:……ほぅ。

佳:だけど、死因が決まっていない以上なんとも言えないって長屋から出てきた人は言ってたんだけど。
  その様子もすぐに来た同心二人が人払いして見れなかったし……。

宗:だが、殺されただろうって?

佳:……うん。周りの人はそう噂してる。

千:まぁ、あそこの大家さんは金稼ぎが上手いって評判だったものねぇ。
  そのおかげで周りからは恨まれてたみたいだけど。

佳:大家さん、自分の家じゃなくて長屋の一番奥の空き家で殺されたんだって。

千:あら、殺すにはうってつけの場所ねぇ

佳:千早さん!

千:いいじゃないの、死人に口無しなんだから。だってあの人ウチのお店にも来るけど
  安酒飲んで、いちゃもんつけて支払い避けてるのよぉ?
  家賃の支払いで何人も無理矢理追い出されたりしてるし。死んだ人も見たわ。
  それくらい恨まれてるのよ。まぁ、誰が殺したっておかしくないわ、残念だけど。

佳:それでも人殺しはダメじゃないですか!

千:まぁねぇ……。って宗ちゃん、どうしたの? 顎に手を当てて考え事?

宗:ん? んん、まぁ、ねぇ……。

佳:何よ、歯切れ悪いじゃない。だったら薪でもわっ――。

宗:あー、ちょっと部屋にいるから、後頼んだー。

佳:えっ? ちょっと! 今日の分の薪割ってよ! ……って話聞いてないし!

千:まぁまぁ、佳代ちゃん。その辺にしてやって、ね?

佳:千早さんも千早さんです! あの人を甘やかすからこんなにだらしなくなったんですよ!

千:甘やかす? そんなことないわよぉ~。私はいつでも本気よ?

佳:なっ、ななななな、何いってるんですか?

千:……。

佳:えっ。冗談ですよ……ね?

千:冗談に聞こえる?

佳:まさか、ほん――。

千:冗談よ。……佳代ちゃんはほんっとからかい甲斐があるわねぇ。

佳:もう、千早さん~!


と、そこに十手を手に持ち長慶登場。


長:よぉ。元気にやってるなー。

千:あら同心さんじゃない。災難だったわねぇ。今日は道場の帰り?

長:まぁな。昨晩も見回りでろくに寝てねぇ上に弟子のお守で疲れてよぉ……。
  んなことよりお宅んとこの金食い虫は?

佳:やめてくださいよ~。宗佑さんって立派な名前があるんですから。

長:へぇへぇ。んじゃその宗佑さん呼んでくれ。


佳代は宗佑を呼びに家に入っていく。


千:騒ぎになってからここに来るのがずいぶん早いのね。

長:現場から近いしな。早めに伝えとこうとな。……あと。

千:宗ちゃん疑ってるの?

長:あ、あくまでも形式的なことだ! 疑ってるとかでは――。

千:嘘つき。

長:(辺りを見回し、小声で)……目撃者がいてな。刀を持った奴が長屋から出るのを見たらしい。
  まぁ、宗佑も持ってるから聞いときたいとおもってな。

千:そんなことなら一晩中ずーっと一緒だったけど?

長:お前さんの店も現場から近いんだ。厠の振りしていけば言い訳にもなんねぇぜ。
  とにかくやってないのはわかっているが確認しに来たんだ。

千:それだけならいいんだけどねぇ……。

長:俺だって信じてはいるさ。あくまでその日どうしていたか、それを知っておきたいんだ。
  それを聞いてりゃあ、万が一でも俺が証人になれる。

千:ふーん……。


そこに宗佑と佳代が家の奥から出てくる。


佳:ほら、宗佑さん! 待たせちゃめでしょ! あ、長慶さん。お待たせしましたー。

宗:突然部屋に入ってくるなよ! あ、よぉ、師範代。

長:よぉ、浪人。

宗:何の用? ……って大家さんの件か。

長:おう、まぁ形式的なことよ。

宗:聞こうじゃないの

長:大家さんが殺されたのは昨日の晩から発見されたお昼の間だ、死体の状況からして大体
  当日の早朝くらいだろうって感じだ。辻斬りか知らんが正面にバッサリ、大きさからして
  刀で一太刀ってところか。

宗:なるほどねぇ。死んだ大家さんが見つかったのは?

長:ついさっき。昨日の晩は千早ちゃんとこ?

千:ず~っと居たわよぉ。

佳:そ・う・す・けさんんんんんん?

長:で、だ。同じ時間に大家さんも居たんだと店に。しかもお前さん同様閉店までずっと
  居たんだと。

宗:なるほどな。んじゃあ確かに俺が疑われるな。

佳:な、何言ってるんですか! 長慶さん。確かにウチの人は女ったらしで甲斐性ないし
  いつまで経っても働かずにぐうたらしてて、剣の腕も磨かずになーんにも無く過ごして
  ますけどねぇ。

宗:佳代。そこまで言うと傷ついちゃう。

佳:でも、人を殺すような真似なんて絶対にしません!

長:分かってるよ、佳代ちゃん。あくまで確認さ。

宗:そーだ、佳代。これは男の会話だー。ほっとけー。

佳:棒読みなのがむ・か・つ・くのよ……。

千:まぁまぁ、佳代ちゃん。落ち着いて。

長:でだ、宗佑。閉店後はどうだったんだ?

宗:…………。

佳:もう!そうす、むぐっ……。

千:しー!

宗:……なぁ、長慶。はっきり言おうや。疑ってるんだろ? 俺のこと。

長:……まぁ、な。疑わしい奴の中で刀持ってるのお前だけなんだよ。

宗:だろうなぁ……。なんとなく分かるよ。お前は嘘つくの苦手だもんなぁ。

長:……笑うな、馬鹿。真剣な話をしてるんだ。

宗:結論から言おう。分からん。あの日はかなり酔ったみたいでな、気がつけばここで千早の膝の上だ。

長:だろうなぁ……。ではその時の行動は完全にははっきりしていないと。

宗:まぁなぁ。遊びに行くのもこういうときは困ったものだねぇ……。

長:となると、だ。手がかりを追うしかないんだが……。

宗:まぁ、今はゆっくりしたほうがいいだろ。どうせ見回りの直後で疲れてるんだろ? 茶くらい出すぜ。

長:悪いな。

宗:お~い、佳代。お茶二杯出してくれー。あと、棚の中に干菓子があるから適当に持ってきてくれー。

佳:はいはい。人遣い荒いんだから……まったく……。

千:私も手伝うわー。

宗:そういや、その袴は道場用のか?

長:あぁ、稽古の後に呼び出されてな。師範も楽じゃないよ……まったく。

宗:なるほど。だから刀の差し方がバラバラなのか。

長:えっ? あ、あぁ。すまん、急いでたものでな。

宗:そうか……。まぁ、座れよ。そろそろ茶が出来る頃だろう。

長:すまんな。失礼するよ。

佳:お待たせしました~。お茶です。

長:あぁ、すまない。

宗:で、ちょっと相談事なんだが……。

長:なんだ? 俺が力になることならいいぜ。

宗:(小声で)実は、刀をなくしたみたいでな。飲んでつぶれてから起きるまでの間に落としたみたいなんだよ。
  千早にも伝えて探してもらってるんだがな……。佳代に言うと怒られるから言うなよ!

長:お、おぉう……。

宗:そういうことで俺は多分犯人から外れるぜ。

長:……そ、そうだな、犯人ではないな。

宗:でよ、長慶。昨日千早んとこに行った?

長:ん? まぁ、行ったは行ったが……何故分かった?

宗:いやぁ、さっき潰れた話したときにお前「だろうなぁ」って言ったろ?

長:ん? んなこと言ったか?

宗:だけど、そうだとすると繋がるんだよなぁ。

長:事件が?

宗:お前、殺したりしてないよな? あの大家さん。

長:まさか。何馬鹿なこと言ってるんだよ。それにどうやって?

宗:普通に斬ったんだろ? 後は架空の犯人でっち上げてやりゃあ十分だろ。で、その犯人が俺とかだったら
  罪を何とかして軽くしてやれるかもしれない。なんて思ってるんじゃないかなぁとね。

長:証拠は? 俺が殺ったっていう証拠。

宗:残念ながら話の流れ上の話だ。だとすると飲み潰れた俺を店の外から確認したお前は道着で大家さんと
  接触、でバッサリ……。
  簡単に言うとそんな感じか。この辺は商人が多い。刀を持っている奴に犯人になってもらうには数が少な過ぎ
  るからな。
  それに、当てが外れると疑いの目は身内に行く。そこで真っ先に目が行くなら――。


宗佑は一度深呼吸をして気持ちを整える。


宗:当日千早の店にいて刀を持っていた俺以外の人物。長慶、お前しかいないんだよ。

長:ほう……。だが、お前小太刀くらいは持ってるだろう。それでやったかもしれんだろ?

宗:いや、無理だな。言ったろ? 刀でバッサリ行くほどの大きな傷だ。そしてもう一つ。

長:何だよ?

宗:何で傷の状況が分かるんだよ?

長:そりゃあ、現場にいたからに決まってるだろ?

宗:だとするとおかしいんだ、俺たちが何でこの事件を知っているか。その辺の噂話で聞いたわけじゃねぇんだ
  よ。佳代が現場に見に行ってるんだよ。そこにはまだお前は来てなかったんだよ。

長:なっ……

宗:なのになんで状況をここまで知っているのか……。

長:……。

宗:あくまでも想像だ。間違ってたら……すまん。

長:…………。

千:ちょ、ちょっと長慶! 何でだんまりなのさ?

佳:そ、そうですよ! ほら、何か言って下さいよ! ウチの人の想像なんですから!

長:……そいつは最高に笑えねぇ冗談だな。なぁ?

宗:…………。

長:今度はそっちがだんまりか……。まぁいいさ。

佳:ちょっと長慶さん?!

長:……やったよ。……どこで分かった?

宗:佳代が来て話聞いた直後にお前さんが来て同じ話だったもんで怪しいと思った。差してる刀がバラバラなので
  疑って。で、確信したのは俺が刀を無くしたって言って動揺したところ。

長:何故そこで確信した?

宗:あぁ。佳代、あれ。

佳:はい。

宗:刀は、ここにあるからなぁ。

長:……けっ、ハッタリかよ。ひでぇ事しやがる。

宗:その口が言えた事じゃねぇだろ。

長:まぁ、なんにせよお前に当てられてすっきりしたぜ。んじゃ、俺は行くよ。

宗:おう。あぁ、千早さん。

千:なんだい? 改まって?

宗:アイツを送ってやってくれないか?

千:ふふっ、改まって言う言葉かい? ねぇ、長慶さん。

長:悪いな、最後にこんないい人と一緒に歩けるなんて幸せな人殺しだな。

宗:だろ? ……じゃあ、千早さん頼んだ。

千:はいよ。じゃ、行こうか。

佳:……行っちゃいましたね。

宗:……だな。

佳:泣いてるんですか?

宗:泣くわけねぇだろ。

佳:泣いても良いんですよ。

宗:大丈夫だ……大丈夫。

佳:…………。

宗:なぁ、佳代。俺も人殺しなんだろうかな?

佳:……馬鹿言わないでください。

宗:すまん。

佳:……きゅ、急に抱きし――。

宗:すまん。このままにしてくれ。

佳:……はい。



     終
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